交通誘導2級は公安委員会の検定|取り方2通り・配置が必要な現場・求人の資格手当
2026年10月30日 公開 文:警備リスト編集部
交通誘導2級とは、警備業法第23条に基づく検定の一つ「交通誘導警備業務」の2級のことで、高速道路などの現場では合格者の配置が義務づけられています。この記事では、特別講習と直接検定の2つの取り方、合格者が必要な現場の条文、警備リスト掲載求人に書かれた資格手当の記載を順に解説します。
交通誘導2級とは?警備業法の検定の仕組み
交通誘導2級は警備業法第23条の検定の一つ
警備員の検定は、警備業法第23条と「警備員等の検定等に関する規則」で定められています。検定の種別は次の6つで、それぞれに1級と2級があります(同規則第4条)。
- 空港保安警備業務
- 施設警備業務
- 雑踏警備業務
- 交通誘導警備業務
- 核燃料物質等危険物運搬警備業務
- 貴重品運搬警備業務
一般に「交通誘導2級」と呼ばれるのは、このうち「交通誘導警備業務」の2級に合格した状態のことです。工事現場や駐車場の出入口で車両や歩行者を誘導する仕事は、警備業法第2条第1項の2号業務にあたります。交通誘導2級は、この分野の知識と技能を公安委員会の検定(または登録講習機関の講習)で確かめたことを示すもので、会社の社内講習の修了とは位置づけが違います。
なお、イベント会場などで人の流れを整理する雑踏警備も同じ2号業務ですが、検定の種別は別です。交通誘導2級を持っていても雑踏警備の検定に合格したことにはならないため、求人に「雑踏警備2級」と書かれていたら、別の資格の話として読んでください。
1級との違いと1級を受けられる条件
交通誘導の検定には1級と2級があり、まず取るのは2級です。警備員等の検定等に関する規則第8条では、1級を受けられるのは、その種別の2級の合格証明書の交付を受けた後に、その業務に1年以上従事した人などとされています。つまり、未経験からいきなり1級を目指すことはできず、2級に合格して現場経験を積むことが前提になります。
一方、後で説明する「合格者の配置が必要な現場」の基準(同規則第2条)では、交通誘導警備業務については「1級または2級の合格者」を置くこととされています。このため、配置の条件を満たすという点では2級でも足ります。2級は、資格者としての仕事の入口になる段階だと考えると分かりやすいでしょう。
1級まで取るかどうかは、働き始めてから決めても遅くありません。2級に合格し、1年以上その業務に就いた時点で、次の選択肢として考えられます。会社によっては1級の取得にも支援制度を設けている場合がありますが、内容は会社ごとに違うので、求人や面接で個別に確認してください。
2級を持つと新任教育・現任教育の扱いが変わる
警備会社は、警備員に教育を行わなければなりません(警備業法第21条第2項)。新たに警備業務に就く人への新任教育は、警備業法施行規則第38条第4項の表で、原則として基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上と定められています。ただし、検定の合格証明書を持ち、その種別の業務に就く人はこの新任教育の対象外です。
すでに働いている警備員への現任教育は、同規則第38条第5項の表で、毎年度、基本教育と業務別教育を合わせて10時間以上とされています。検定の合格証明書を持つ人の扱いは2通りあります。国家公安委員会が定める合格証明書を持ち、その種別の業務に就く人は、現任教育の対象外です。それ以外の合格証明書でその種別の業務に就く人や、合格した種別とは別の業務に就く人は、業務別教育を毎年度6時間以上受けます。自分の合格証明書がどちらに当たるかは、勤め先の会社で確認してください。
ここで注意したいのは、これはあくまで法律が求める最低限の扱いだということです。2級を持って別の会社に移った場合でも、会社が独自に社内ルールや現場の決まりを教える時間を設けることはあります。会社の指示で受ける研修は原則として労働時間にあたるため、研修の有無と給与の扱いは、応募の段階で求人票や雇用契約で確かめておくと安心です。
合格者は現場で合格証明書を携帯する
検定は「合格したら終わり」ではありません。合格後には公安委員会に合格証明書の交付を申請します。警備員等の検定等に関する規則第14条第3項第4号では、交付申請の際に、市区町村長の証明書、医師の診断書2種、誓約書などを添えることになっています。準備に時間がかかる書類もあるため、合格が見えてきたら早めに確認しておくと手続きが滞りません。
交付を受けた後は、その業務に就いている間、合格証明書を携帯し、求められたら提示しなければなりません(同規則第3条)。配置が必要な現場では、資格者として立っていることを示す根拠になるからです。
- 合格証明書は、配置される現場に出るときは必ず持って行く
- 紛失や汚損を防ぐため、カードケースなどに入れて持ち歩く
- 氏名や住所が変わったときの手続きは、交付を受けた公安委員会の案内で確認する
持ち物として忘れやすいので、制服や合図灯と同じ「現場の必需品」として扱うのがおすすめです。
交通誘導2級の取り方は特別講習と直接検定の2通り
直接検定:公安委員会の学科試験と実技試験
1つ目の取り方は、都道府県公安委員会が行う検定を直接受ける方法で、一般に「直接検定」と呼ばれます。検定は学科試験と実技試験で行われ、学科試験に合格しないと実技試験は受けられません。
学科で問われる範囲は、警備業法などの法令、道路交通に関する法令、交通誘導の方法、事故が起きたときの措置などが中心になります。これらは新任教育の基本教育・業務別教育(警備業法施行規則第38条第2項・第3項)で学ぶ内容と重なる部分が多いため、現場で働きながら知識を積み上げていくと取り組みやすくなります。実技では、合図の出し方や誘導の動作などが見られます。
直接検定は、講習を受けずに試験だけで合否が決まる方法です。そのぶん、自分で勉強時間を確保し、動作も練習しておく必要があります。独学に不安がある場合や、まとまった休みを取りにくい場合は、次に説明する特別講習と比べて選ぶとよいでしょう。試験の実施日や会場は都道府県ごとに異なり、毎年決まった日程とは限らないので、公安委員会や警備業協会の案内で最新の情報を確認してください。
特別講習:登録講習機関の課程を修了して合格とみなされる
2つ目の取り方は、国家公安委員会の登録を受けた機関が行う講習会の課程を修了する方法で、一般に「特別講習」と呼ばれます。警備員等の検定等に関する規則第5条により、この課程を修了すると、検定に合格したものとみなされます。
特別講習では、講義と実技の練習を受けたうえで、講習の最後に修了考査が行われます。直接検定と比べると、決められた日程に通って学ぶ形になるため、何をどこまで覚えればよいかが見えやすいのが特徴です。一方で、講習の日数分は仕事を休むことになり、受講料もかかります。
どちらを選ぶか迷ったときは、次の観点で比べると判断しやすくなります。
- まとまった日数を講習に充てられるか
- 受講料を自分で払うのか、会社の支援制度が使えるのか
- 独学で学科と実技の両方を準備できそうか
- 会社が受講時期や受講先を指定していないか
会社の支援で受ける場合は、会社が講習の申し込みを取りまとめることもあります。自己判断で申し込む前に、勤務先に相談しておくと費用や日程の行き違いを防げます。
合格基準は90%以上、日程・費用は警備業協会で確認
直接検定でも特別講習の修了考査でも、合格の基準は学科・実技ともに90%以上と定められています(警備員等の検定等に関する規則第6条・第17条)。8割の出来では届かない水準なので、「なんとなく分かる」ではなく、法令の用語や誘導の手順を正確に覚えておく必要があります。
一方、合格率、試験日、受講料、講習の日数は法令には書かれておらず、年や地域によって変わります。そのため、この記事では具体的な数字を書きません。インターネット上で見かける数字も、いつ・どこの情報なのかが分からないことがあるので、受ける前に次の窓口で確認するのが確実です。
- 各都道府県の警備業協会の講習案内(特別講習の日程・受講料・申込方法)
- 各都道府県の公安委員会・警察本部の案内(直接検定の実施日・申請方法)
- 勤務先の警備会社(支援制度の有無、受講の推薦や取りまとめの有無)
受講の条件についても、講習機関ごとの案内に従います。なお、18歳未満の者は警備員になれないこと(警備業法第14条)は前提として押さえておきましょう。
交通誘導2級の配置が必要な現場(検定規則第2条)
高速自動車国道・自動車専用道路の交通誘導
交通誘導2級が「必要な資格」になるのは、法令で合格者の配置が決まっている現場です。警備員等の検定等に関する規則第2条では、交通誘導警備業務を高速自動車国道や自動車専用道路で行う場合、交通誘導警備業務の1級または2級の合格者を、警備業務を行う場所ごとに1人以上配置することとされています。
こうした道路は車の速度が高く、誘導の失敗が大きな事故につながりやすい場所です。車線の規制や工事のための誘導では、ドライバーから見て分かりやすい合図や、危険を早く察知する判断が求められます。検定で確かめた知識と技能を持つ人を置くことが法令で求められているのは、このためです。
働く側から見ると、こうした現場は、資格を持っていなければ資格者として配置されない現場だといえます。会社にとっては、配置基準を満たすために一定数の合格者を確保しておく必要があります。2級を持っていると、配置が必要な現場の担当候補になれる、という形で仕事の幅が広がると考えられます。
都道府県公安委員会が必要と認める路線
同じく規則第2条では、高速道路などに加えて、都道府県公安委員会が道路における危険を防止するため必要と認める場合にも、交通誘導警備業務の1級または2級の合格者を場所ごとに1人以上配置することとされています。
どの道路が対象になるかは、都道府県ごとに公安委員会が定めます。交通量の多い幹線道路などが対象になることがありますが、具体的な路線は都道府県によって違い、変わることもあるため、この記事では路線名を挙げません。自分が働く地域の対象路線を知りたい場合は、勤務先の警備会社に聞くか、都道府県の公安委員会・警察本部の公表している情報を確認してください。
実務では、現場に出る前に「この現場は検定合格者の配置が必要か」を会社が判断し、資格者を割り当てます。2級を持っている人が配置される場合は、その現場に資格者として立つことになるため、合格証明書の携帯(規則第3条)を忘れないことが大切です。配置が必要な現場かどうか分からないときは、現場に入る前に隊長や管制担当に確認しておくと安心です。
配置義務が無い現場では資格が無くても働ける
規則第2条の配置基準は、高速自動車国道・自動車専用道路と、公安委員会が必要と認める場合が対象です。それ以外の一般道の工事現場や、商業施設・イベント会場の駐車場での誘導などは、この規定による合格者の配置義務の対象には含まれません。
そのため、新任教育を受けた未経験の人が、資格を持たないまま交通誘導の現場に就くことは珍しくありません。「交通誘導2級が無いと警備員として働けない」ということはなく、まず働き始めてから取得を考える、という順番でも問題ありません。
とはいえ、資格が無くても働ける現場だからといって、仕事の中身が軽いわけではありません。歩行者や自転車、工事車両の出入りが重なる現場では、暑さ寒さの中で長時間立ち、周囲に目を配り続ける必要があります。また、警備員には警察官のような強制の権限は無く(警備業法第15条)、誘導は相手にお願いして協力してもらう形です。2級の学習で法令や誘導の方法を体系的に学ぶことは、配置義務の有無にかかわらず、現場での判断に役立ちます。
求人に書かれた交通誘導2級の資格手当(掲載求人の集計)
掲載求人の偏りと2級に触れた求人の数
まず、集計の前提となる掲載求人の偏りをお伝えします。警備リストに掲載中の求人(2026年10月18日時点・503件)のうち、401件(約8割)は求人広告会社1社を通した募集、100件(約2割)は警備会社1社の各支社の募集です。地域は東京都151件・埼玉県108件・千葉県69件・神奈川県66件・新潟県53件で全体の約9割を占め、号区分は2号(交通誘導)が463件とほぼ交通誘導です。
そのうえで、警備リストに掲載中の求人の本文を調べると、交通誘導2級に触れた求人が一定数ありました。一方、雑踏警備の2級に触れた求人は5件、施設警備の2級は0件で、資格の記載は交通誘導に集中しています。
参考として、警備リストに掲載中の交通誘導の日給の求人(2026年10月28日時点・454件)では、給与欄の下限の中央値は10,600円でした。これらはいずれも求人に書かれた内容の集計で、実際の支給額や全国の相場ではありません。
手当の書き方は「上乗せ額」「配置で給与UP」「日給の提示」など
2級に触れた求人(2026年10月27日時点・493件中)の書き方で多かったのは、次のものです。
- 「交通誘導2級保持者+500〜1,500円」:149件(すべて同じ求人広告会社経由の定型文で、日額か月額かは書かれていない)
- 「交通誘導2級所持者は配置で給与UP」:28件
- 「交通誘導2級以上の資格をお持ちの方は10万円支給」:19件(何に対する支給かは書かれていない)
- 「交通誘導2級所持者は給与UP」:12件
- 「2級の資格者として配置された場合に給与UP」:10件
- 「交通誘導警備業務2級をお持ちの方は日給13,000円」:5件
注目したいのは、「持っているだけ」ではなく「資格者として配置されたとき」に給与が上がると書く求人があることです。配置が必要な現場(検定規則第2条)に就いた日に上乗せされる、という読み方ができます。ただし、すべての求人がこの仕組みだとは言えません。
また、警備リストに掲載中の求人(2026年10月18日時点・503件)では、「資格手当」の語がある求人が132件、そのうち額まで書いた求人が70件で、500円が52件・1,000円が44件・1,500円が6件・5,000円が1件でした。1件に複数の額を書いた求人があり、日額か月額かも求人ごとに違います。
資格取得支援制度の記載と応募前の確認点
警備リストに掲載中の求人(2026年10月27日時点・493件)では、「■資格取得支援制度」の記載が354件、「資格取得支援制度(全額会社負担)」が53件、「資格取得費用全額会社負担」が10件などありました。ただし、どの資格の、どこまでの費用を支援するかは求人ごとに違います。「全額会社負担が当たり前」とは言えないので、次の点を面接や雇用契約の際に確かめておきましょう。
- 支援の対象に交通誘導2級(特別講習・直接検定)が含まれるか
- 受講料・交通費・講習日の日当がそれぞれ出るか
- 取得後に一定期間勤めないと費用の返還を求められる約束がないか
- 資格手当は「保有」で付くのか「資格者として配置された日」に付くのか
- 手当は日額か月額か
なお、労働基準法第16条は違約金や損害賠償額の予定を禁じています。返還の取り決めが気になる場合は、内容を書面で確認し、必要に応じて労働基準監督署などに相談してください。警備リストでは、都道府県や交通誘導・日払い・未経験・シニアなどの条件から求人を探せるので、気になる求人の資格欄を比べる際に活用できます。
このデータで言えること・言えないこと
警備リストの集計から言えるのは、次のようなことです。
- 掲載中の求人のうち、交通誘導2級に触れた求人が一定数ある
- 2級の手当には「上乗せ額」「配置で給与UP」「日給の提示」など複数の書き方がある
- 「資格者として配置されたとき」に上乗せすると書く求人がある
- 資格取得支援制度を記載する求人が多い
反対に、このデータからは言えないこともあります。上乗せ額の多くは同じ求人広告会社の定型文で、実際の加算額は現場や配置しだいです。2級を取った人が実際にいくら受け取っているか、取得後にどれくらいの頻度で配置が必要な現場に入れるかは、求人の記載からは分かりません。また、掲載求人は関東と新潟が中心で、関西・東海・九州などの状況はこのデータでは言えません。応募の数も開設以来ほとんど無いため、資格を持つ人が採用で有利になるかどうかも分かりません。
求人の数字は「こういう書き方の求人がある」という手がかりとして使い、自分が受け取る額は、面接と雇用契約の書面で確かめるのが確実です。
まとめ
交通誘導2級は、警備業法第23条に基づく検定のうち「交通誘導警備業務」の2級です。取り方は、公安委員会の直接検定を受けるか、登録講習機関の特別講習を修了するかの2通りで、どちらも学科・実技とも90%以上が合格の基準です。高速自動車国道・自動車専用道路や、公安委員会が必要と認める場合には、1級または2級の合格者を場所ごとに1人以上置くことが義務づけられています。一方、それ以外の現場では資格が無くても働けるので、未経験の人はまず働き始め、会社の支援制度を確かめてから取得を考える順番でも構いません。求人の資格手当は「配置されたとき」に付く書き方もあるため、額・日額か月額か・支給条件を応募前に確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 未経験でも交通誘導2級は取れますか?
A. 2級は1級の前段階の検定です。1級は2級の合格証明書の交付後にその業務に1年以上従事した人などが対象(検定規則第8条)ですが、2級の受講・受験の条件は講習機関や公安委員会の案内で確認してください。多くの人は働き始めてから会社の支援制度を使って取得を考えます。
Q. 交通誘導2級を取れば必ず日給が上がりますか?
A. 必ず上がるとは言えません。掲載求人には「資格者として配置された場合に給与UP」と書く求人があり、配置が必要な現場に就いたときに上乗せされる仕組みの会社もあります。支給条件と日額か月額かを面接や雇用契約で確認してください。
Q. 特別講習と直接検定はどちらがいいですか?
A. 特別講習は登録講習機関の課程を修了すると合格とみなされ、決まった日程で学べます。直接検定は公安委員会の学科・実技試験を受ける方法で、独学の準備が必要です。日数・受講料・会社の支援の有無で比べ、勤務先に相談してから選ぶと行き違いを防げます。
Q. 資格が無いと交通誘導の仕事はできませんか?
A. できます。合格者の配置が義務づけられているのは、高速自動車国道・自動車専用道路と、公安委員会が必要と認める場合です(検定規則第2条)。それ以外の現場では、新任教育を受けた人が資格なしで交通誘導に就くことがあります。
Q. 交通誘導2級を持っていれば雑踏警備の資格も兼ねますか?
A. 兼ねません。雑踏警備業務と交通誘導警備業務は検定の種別が別です。イベント会場などで雑踏警備の合格者が必要な場合は、雑踏警備の検定に別途合格する必要があります。
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